少し詳しい『二丈赤米』の話
P2.赤米からのメッセージ

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 『赤米』は、赤いお米です。赤いといっても紅色でなく、赤褐色の色素を持った米です。胚乳の部分は白いのですが、糠層の部分に「カテコールタンニン」(略してカテキン、抗酸化作用などで最近話題のポリフェノール類」の一種です)という赤褐色の色素を含み、ご飯にするとお赤飯になります。
 よく「古代米」という表現をされますが、古代の米は確かに赤米だったようで、古代の日本で「白い米」が記録に登場するのは奈良時代以降の事です。ちなみに植物としての野生の稲は赤米です。しかし赤米がすべて古代米という訳ではありません。私たちの『二丈赤米』も古代米ではありません。後でも述べますが
未来の米なのです。
 大陸から伝来し、僅かの年月で日本全土に広がり、弥生文化の幕を開けた赤米。その栄養価や食糧としての素晴らしさに、人々は感謝の気持ちと畏敬の念を持った事でしょう。そして翌年の豊穣への願いも込めて赤米ご飯を炊き、自然(神)にお供えしたのでしょう。この習慣と精神が今に伝わり、祈願成就のお目出たい日や、招福祈願のお供えには、小豆を代用してお赤飯を炊くのです。
 古代より日本の人口を支え続けてきた赤米も、だんだんと白い米にその主役の座を譲っていったようです。品種の管理や精米の技術などが現代ほど進んでいなかった当時、白い米の方が安定的に美味しく食べられたのでしょうし、貨幣の代わり(年貢など)としての画一性に優っていたのでしょう。「大唐米」、「唐法師」という品種などのように、飢饉の時でも良くとれる赤米(異常気象に強かった為、全国に広まった)が、たまたまあまり美味しくなかったという事もあったようです。
 それでも江戸時代までは各地で(特に条件の悪い田んぼで)結構作付されていたようですが、明治政府になってからは「白米一本化政策」とでも言うべき農政の下で、赤米はほとんど作られなくなって行きます。何とか今でも作られている有名な所は、岡山県総社市の国司神社種子島の宝満神社、そして対馬の豆酘(つつ)にある多久頭魂(たくつたま)神社の、三ヶ所の神社田です。つまり僅かに神社の祭祀用としてのみ作り続けられてきた、という事ですが、全国の農家の中には赤米、黒米などのいろんな品種を、研究しながら、或いは楽しみながら密やかに作り続けてきた人もいたようで、1980年代頃から、日本古代稲研究会」の方たちを中心に古代米の復活の動きが少しづつ始まりました。
 1985年、当時福岡県農業総合試験場の技師、松江勇次氏の手により、対馬系の赤米(粳種)とサイワイモチ(白・糯種)との交配が行なわれました。その後、当時農業改良普及員として全国的な減農薬運動を展開、指導していた宇根豊氏(二丈町在住)を中心に、民間育種として私達の選抜が続き、1991年より、選抜育種の傍らながら一般消費者の方に食べてもらえるような、ある程度の規模の作付を始めました。そして1994年には、品種として固定したという事で、「未来1号」、「未来2号」、…、「未来202号」…、「吉住1号」、「松崎1号」などの品種名(愛称)を付けるに至りました。『二丈赤米』の誕生です。

 赤のウルチと白のモチのかけ合わせですから、赤、白それぞれのモチ、ウルチという種類が生まれる訳ですが、私達はその中から主に赤のモチ種を選抜しました。在来種の欠点であった「パサパサ」を解消し、『美味しい赤米』として復活させたのです。この二丈赤米は、古来からの良さ(色、成分、逞しさ)を併せ持つことにより、古代食を偲ぶ小豆なしのお赤飯の材料として、また食物繊維、ビタミン、ミネラル等の成分を多く含む(成分分析表・参照)健康食の食材として、さらに化学肥料や農薬などをほとんど必要としない、環境負荷とヒトへの負荷の非常に少ない作物として、多方面にわたり優れた特性を持っています。地球環境の悪化や食べ物の安全性が問われている今、二丈赤米は安心して作り、安心して食べてもらえる、まさに『未来の米』なのです。
 また二丈赤米は、コシヒカリ系統が主流である稲の品種改良の流れとも、一線を画す米です。遺伝的に非常に遠縁同士のかけ合わせですから遺伝的バラエティーに富んでいます。多様性は環境変化への対応性、順応性につながりますし、生命の力強さそのものです。あまりに力強かったもので品種の固定に通常の倍以上の年月がかかってしまいました。そして「米の美味しさ」についても一石を投じます。コシヒカリとは違った美味しさ、美味しさの多様性、化学調味料に慣れきって眠っていた私達の食文化の多様性とその出発点を、揺り起こしてくれるお米なのです。
 育種の中で選んだのは主に玄米色の良い赤のモチ種で、兄弟ですがそれぞれに特徴があります。肥沃な田んぼに向いた「未来8号」や痩せた田んぼに向いた「吉住1号」、稲穂は美しいけども倒れやすく作りにくい「未来1号」や稲穂はそうでもないけど作り易い「未来3号」などいろいろです。共通しているのは玄米が赤米として優れている事と、化学肥料がいらない事、そして雑草対策以外では農薬を必要としない事です。また生食用以外にも稲穂が非常に美しい観賞用の品種写真をご覧下さい)や、ウルチの品種もあります。
 実際の栽培では、全体としては初期除草剤1回だけの農薬使用に限定しています。さらに、生物的な雑草防除を活用したり、物理的な除草を試みたり、「出来るだけ」完全無農薬での栽培を目指しています。生物的な除草では、アイガモ、ジャンボタニシ(稲守貝)、カブトエビ、アゾーラ(浮草)などの方法があり、二丈赤米ではカブトエビに最もお世話になっています。物理的方法には、手で取る、除草機利用、超深水栽培、米糠除草法などあります。間違いないのはやはり除草機で田んぼの中を歩き回る方法ですが、この古来の方法はやはり、「戦前派」の体力を必要とします。ちなみに完全無農薬の二丈赤米は、別枠で販売しております。
 二丈赤米の魅力を一言で表現すると、『赤米ルネッサンス』となります。品種、栽培、美味しさ、食文化など、いずれについても、懐古主義でなく元々の出発点を思い出させてくれるお米です。もちろん
実用の食材として、手軽に美味しいお赤飯の炊ける、優れたお米である事も大きな魅力です。
長くなりました。もう少し深い魅力は、P2.にあります。

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